ゆらぐ蜉蝣文字


第8章 風景とオルゴール
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8.7.14


さて、「第四梯形」については以上なのですが、さいごに、《七ツ森》を詠んだ晩年の文語詩を一瞥しておきたいと思います:〔鶯宿はこの月の夜を雪ふるらし〕

雪の降る風景ですが、やはり、列車は小岩井から雫石方向に向かっています。

最後の「七つ森のはての一つ」「けはしく白く稜立てるもの」は、“生森”と思われます。生森は、ふつうに見ると頂上が尖ってはいないのですが、これも《心象》です。

“生森”を周回するように回りこんだ線路が、《七ツ森》から離れて雫石盆地に進んで行くと、急に視界が開けて明るくなります。
最後の行「旋[めぐ]り了[おわ]りてまこと明るし。」は、そのようすを表現しています。



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