ゆらぐ蜉蝣文字


第4章 グランド電柱
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4.2.3


. 春と修羅・初版本

01そら、ね、ごらん
02むかふに霧にぬれてゐる
03蕈のかたちのちい[さ]な林があるだらう
   〔…〕
09 こヽいらはふきの花でいつぱいだ

 「霧にぬれてゐる‥林」の中 ⇒ 「ふきの花」

という・しっとりとして香ぐわしいイメージの連合ないし親和性が、この詩想のもともとのきっかけではないかと、思います。

林が「蕈のかたち」をしているのも、湿った林〜蕗の花 のイメージと親和しています。

さらに、対象どうしの結合だけでなく、作者の側で起きている

「わたしのかんがへが〔…〕流れて行つて」
「溶け込んで」

というできごとも、同じイメージの連合から導かれているのではないでしょうか?

賢治の《心象スケッチ》では、イメージの連合は、詩想が構築される際の重要なモメントになっているようです。


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