ゆらぐ蜉蝣文字
□はじめに
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ゆらぐ蜉蝣文字
━━宮沢賢治『心象スケッチ 春と修羅』全詩解読━━
(ひのきのひらめく六月に
おまへが刻んだその線は
やがてどんな重荷になつて
おまへに男らしい償ひを強ひるかわからない)
手宮文字です 手宮文字です
「雲とはんのき」(1923.8.31.)
そらにはちりのやうに小鳥がとび
かげらふや青いギリシヤ文字は
せはしく野はらの雪に燃えます
「冬と銀河ステーション」(1923.12.10.)
風の透明な楔形文字は
暗く巨きなくるみの枝に来て鳴らし
#75「北上山地の春」(1924.4.20.)[下書稿(1)]
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