*本棚*

□〇winters novel●
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「クリスマス、予定なんかあるのか!?」
テーブルをだんっと両手で叩き、クリスマスの予定を尋ねてくる。人に予定を聞く態度じゃないだろうと思いつつも、脳内で大学講義の予定を浮かべる。
「たしかなかったと思うが……」
「ほんとだな!?」
「あ、ああ……」
なおも詰め寄ってくるため、軽く引きさがりながらもそう答える。
すると忍はやっとソファーに座りなおし、なぜかほっとしたような表情を浮かべた。
「なんだよ? クリスマスになにかあるのか?」
「……ぃ……?」
「はい?」
うつむきながら消えそうな声で告げられた言葉が聞き取れず、思わず反射的に聞き返す。
すると忍は再び立ち上がり、今度は大声で叫んだ。
「クリスマスに、家、来ていい!?」
「は?」
あまりに突然の申し出に、ぶっきらぼうな言葉が口を衝いて出る。
そんなの、いつも勝手に来てはキッチンで料理(という名の有機物)を作っているではないか。
「やっぱり、だめ……?」
「いや、別にそんなのいつも来てるじゃねぇか。いまさら……」
「でもクリスマスだし……」
クリスマスと言えばイコール恋人のイベント。忍はそんなことを思ってそういったのだろうが、宮城にしてみればどうして聞いてくるのか理解できなかった。
「別にクリスマスだろうが関係ないだろ。」
「……。」
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