*本棚*

□〇winters novel●
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純情テロリスト winters novel

12月も半ばにさしかかった日曜日。
冬を迎えるには遅すぎる最近、ようやくこの街にも冬の寒さを感じるようになった。
「最近寒いけど、お前、ちゃんと温かくして風邪なんかひくなよ。」
「……ガキじゃあるまいし……」
都内のとあるマンションの一室。
この部屋の住人、宮城庸は突然押し掛けてきた隣人であり恋人の高槻忍を目の前に、煙草を吸い始めた。
コーヒーを飲みながら沈黙が続くのはいつものこと。宮城は煙草を吸い殻入れに入れ、新聞を広げた。
「最近よく来るけど、ちゃんと勉強してるんだろうな。授業甘く見てると痛い目見るぞ。」
「まあ、テキトーに……」
今日の忍はどこかおかしい。いや、おかしいのはいつもだと思うが、と内心思いながらも、新聞越しに様子をうかがう。
さっきからそわそわして落着きがない。今日は宮城が教授をしている大学も、忍の通う大学も休みなため午前中から宮城の部屋にいるのだが、いつもならもう少し落ち着いている。今更緊張するのもおかしい。
「どうかしたのか。」
「え?」
「今日、様子おかしいぞ。なにかあったのか。」
理由が分からずに聞いてみることにすると、忍は頬を染め、「なんでもない……」と小さく答えた。
怪しむように眉根を寄せる。なんでもない、そういう時に限ってこの17歳年下の恋人は勝手に想像して、それだけでは飽き足らずに、行動に移すのだ。
今まで何度、面倒な事態に陥ったことか。
「自分ひとりで勝手に想像して行動するんじゃねーぞ。お前、そういうときに限って……」
「宮城!」
宮城の言葉を遮り、突然立ち上がって顔と顔の距離、十数センチのところまで迫る。
驚きに思わず目を丸くすると、先ほどよりさらに顔を、耳まで赤くして、忍が言った。
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