*イベント小説*

□●花見の醍醐味は二人っきりの夜桜から○
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・花見の醍醐味は二人っきりの夜桜から・

「綺麗だなぁ……」
大学の1年が終わった春休み。
この久しぶりにたくさんある自由な時間を無駄にするような美咲ではなく、今もバイト先からの帰りだった。
気まぐれでいつもと違う道を来たお陰で、満開の桜に出会うことが出来たのだ。
何度か見たことがある広場だったそこは、薄いピンク色に着飾り、まるで別世界のようだった。
「この前までは蕾だったのになぁ」
広場の中へ入り、思わず上を見上げ、ひらひらと舞い落ちる花びら一枚を掴もうと手を伸ばす。しかしそう簡単に掴まるはずはなく、美咲が掴もうとした一枚はゆっくりと地面に落ちていった。
「ウサギさんにも見せたいなぁ……」
ウサギさんこと宇佐見秋彦、美咲の兄の親友で、今美咲が居候している家の家主でもある。日本で知らない人はいないほど有名な小説家である秋彦は今、作品の締め切りに追われていてここしばらく外出していないはずだ。
「よしっ」
まさか桜の枝を持って行くわけにはいかない。
締め切りが終わったら一緒に花見に来ようと心に決め、美咲は軽い足取りで家へ向かった。
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