文字

□就幸
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元就×幸村(先輩×後輩)















着ている物は同じなのに、着ている人でどうしてこんなにも違ってしまうのだろうか。



スラリと伸びた細い足がスカートから出ている。
その人は自分を気にする事もなく、少量だが机に積み重なれた冊子や書類を的確に読み取りながらも速く、見つけた訂正箇所や署名に書いていく。
それは生徒会長であり、恋人である元就を生徒会室の机を挟み向かい合うソファーから見ていた自分は知らないうちにため息を吐いていた。

――いつもなら元就は生徒会員の為に備えられた立派な机や椅子に座っているのだが、今日の仕事は少ししかないからと彼女はソファーに座っているのだった。

いつもなら聞こえない距離にいる元就だが、今日は近くにいた為それが聞こえた元就は少し片眉をしかめて本から目を外し、自分を見た。


「すまぬ、幸村。退屈であろう?」

「いっ、いえ、そんな事など…!」


顔を上げた元就はブレザーの内ポケットから財布を出すと、ピッと札を抜き取り幸村へと差し出す。


「購買でお前の好きな甘いものでも買ってくるがよい。もう少しかかりそうだ」


そう云いながら受け取ろうとしない幸村へと疲れそうなほど綺麗に伸ばした腕で、ちょいちょいと金を動かした。


「いえっ、後少しでしたら待っていまする」

「む、そうか?別に遠慮する事は無いのだぞ?」


待たしてしまっているこちらが悪いのだから。と云われたが、やはり幸村は受け取らず、元就は出した札をまた財布の中へと戻して作業を再開した。





そして暇になった幸村の視線は窓の外の橙に染まった空を見て、また元就へと戻る。

(あぁ、綺麗)

つきそうになったため息を両手を口に当てることで防ぎ、その手を顎にやって頭を支えた。
目はやはり元就へ向いてしまう。
そこにいる人物、特に見えるものは元就しかいないにせよ見過ぎだ。
はぁ、とまたでるため息を手で塞ぎ「自分は何故あちらこちらにこんな肉がついているのか」と思った。


「先刻から我を見ているのはその所為か」


トントンと書類を揃えながらはぁと息をついた。


「ぇ、あ、あの…ぁれ?」


意識しないで考え出ていた言葉は自分にだけ聞こえていると思ったのに、元就は相づちをうっていて…。
一瞬自分が音を出して云ったのだと気づかなかった。


「幸村くらいが丁度良いと思うが?我のように細っこいのはあまり魅力を感じぬと思うのだが」


仕事は終わったようで整えた書類をクリップで纏めて、また冊子を合わせてさっきと同じようにトントンと揃えて机の端にに置いた。
そして机に手をついて身を乗り出し幸村の頬に触れる。


「つまり、我は幸村に魅力を感じている。と云うことだ」


にこりと笑って、その笑顔の美しさに惚けている幸村の唇に口づけた。






終わり



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