□HappyHalloween
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「そんなに食えんのか」



場所は食堂。
机を軽く3、4人分程の場所を取るお菓子の数々を見てボソリと呟く黒髪の彼。
食べたいのかなと思って近くにあった可愛く包装されたマフィンを彼の方へ差し出してみたが、要るかと一言で一蹴された。



「食べますよ
食べてるでしょう?」



口の中を占領していたパンプキンのパイを飲み込んで答えたあと、最後の残った一切れにもかぶりついた。
もう半ば呆れた様な溜め息をつく彼に、後ろにいたらしいラビが「こいつはこういう奴さぁ」と神田の肩に手を置いた。
虫の居所が悪いのか神田は肩の手を払い除ける事はせず、無言で背後のラビにエルボーを入れた。あれは鳩尾入ったな。



「HAPPY HALLOWEEN!!」



ポンと目の前に置かれた包みに気付き目を上げると上で二つに結った長い髪が目に入った。
目の前に置かれたのと同じ包みをラビと神田にも手渡している。
パンプキンパイを食べ終え、南瓜のチーズケーキに伸ばしていた手を引っ込め、包みに向かわせた。
薄緑のリボンを解き、オレンジの薄紙の中には紙よりは濃い色の生地のクッキーが入っていた。
埋め込まれたチョコチップは顔を象っていて、小さいジャック-オ-ランタンだ。
凄く可愛いし、美味しそう。



「有り難う御座います、リナリー」


「いいの!…でもそんなにあるなら、私の要らなかったんじゃない?」



 
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