□お菓子はいらない!悪戯させろ!
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「じゃじゃーん!」



ドアがノックされたから、風呂から出たばかりで、身体も温まっていて、眠かったけど仕方なく扉開けてやった、ら



「…何やってんだ」


「ドラキュラです神田!」


いや、なんの仮装かとかは聞いてない
仕方なく目の前の奴の格好に目を向ければ襟の立った大きめのマントを羽織ってる以外は服装に大して代わりはない。
だが唇の両端からは明らかに八重歯とか言うレベルじゃない歯が飛び出ていた。
…妙に凝った事しやがるな。
その視線に気付いたのか、ガバッと口を開け牙を指差した。
「すごいですよねー、これ。コムイさんに貰ったんですよ、本物みたいですよね!」と言いたかったのだろうが、口を開けたまま喋るせいでほとんど分からなかった。
きっと散々他の部屋も周って来たのだろう
モヤシの口からは仄かに甘い匂いが漂っていた



「ごめんなさい、中に入れてくれますか?
………寒くて」



そういって少しオーバーに腕をさする
でもこの季節、確かに夜は寒い。
風呂上がりの俺はまだしも、モヤシは廊下を練り歩いてたわけだ。そりゃ寒い。
しょうがねぇな、と嫌味たらしく言い、聞こえる様に舌打ちも落としたがモヤシは無邪気にやったぁと笑顔を浮かべている。
…呑気な奴だ。



「かーんだっ
トリックオアトリート!!」



満面の笑みと共に差し出される右手。
期待に満ちた顔でこちらを見つめている。
お前はもうたらふく食っただろうが。
てめぇの腹はブラックホールか。



 
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