□お泊り!
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「神田、今日僕の部屋に泊まっていきませんか」






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急がなきゃ急がなきゃ
えぇと邪魔で不気味な置物は物置に使われている隣の部屋に押し込んで。
それからシーツをかえて少し散らばっている洋服をランドリーへ持って行って。
この前行った任務の資料を纏めてファイリングして瀕死のコムイさんに提出して。
それが終わったら食べ散らかったカスを箒で掃いて雑巾で仕上げして、
何気なく磨きだした壁を拭く手が止まらなくなって、あぁ!こんな事してる場合じゃないのに!!
それでも結局最後まで磨いた壁を満足感と共に眺めるとカチカチと部屋に響いた針音のおかげで現実に引き戻される。
そうだ最後のチェックを念入りにしないと。

駄目は元々当たって砕けろ精神でお泊りに誘ってみたら、あっさりと「構わない」と返ってきた。
神田はとても危機感が足りない様で、彼氏としては不安だ。とても。
だって…お泊りってそういう事でしょう?

僕、物凄く期待してるんだからね、神田





コンコン

「俺だ」


控え目に叩かれた扉に耳に届く低い声。
はい、と返事を返し僕が扉を開けるまで自分からはけして扉を開けない神田に内心律儀だなぁと感嘆する
どこかのバンダナ兎なんてノックと同時に扉を開けるのに。最早ノックをする意味がない。
いや、まずノックをする事が、少ないだろう
彼だってシリアスの時はキチンと僕が開けるまで待つのに。
…まぁ、彼がせっかちな内は平和という事だろうか。


 
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