□君のかほり
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「ただいま」



一週間ぶりのホーム。
愛しの彼は居るのだろうか。
それよりも先に科学班に報告書を届けに行った。


「おぅアレン、お帰り」



笑顔で迎えてくれたのは炭酸飲料片手にした科学班班長。
またクマが濃くなってる。
大変そうだな。


「はい、今回の報告書。
あの、今ホームに居ますか?かん…」


「神田なら今任務だぞ。
そろそろ帰って来ると思うんだけどな」



疲れている所に悪いかな、と思いながらも報告書を渡して気になる彼の所在を聞こうとした。
けれど目の前のこの人は解りきった様子で僕の言葉を最後まで聞かずに答えを出した。



「そう…ですか」



がっかり。
一週間ぶりに神田に会えると思ったのに。
しょうがないからそのまま科学班室を去ろうとした時。


「アレン!」


急に呼び止められた。
なんだろうと振り返ればすまなそうにしたリーバーさんが何かを投げて寄越した。
チャリ、と音を立てるソレは沢山の鍵を紐でひとまとめにした物だった。
…何で、鍵?



「室長がお前の部屋弄ってたんだ。
危ないから違う部屋見つけとけ」



またコムイさん絡みか。
しょうがないから有難うございますと告げ部屋探しに足を進めた。


――――――――。



取り敢えず手近な所から見て行こうかな。
軽くドアを2回ノックしてみる。
……………返事なし。
これはいきなり当たりかな?と得意げになってノブを回す。



ガチ。



…鍵開けるの忘れてた。
鍵を開けて改めてノブを捻る。
今度はすんなりと回った。



 
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