□重なる視線
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気が付けば目で追っていた−−。



なんで?



どこにいても目立つから



それだけ?




漆黒の長い髪。
それがサラリと風にのって舞う。
周りに居る誰よりも白い肌。
昔触れた時は滑らかで本当に驚いた。
切れ長の黒い瞳。
君はいつも僕の事、見てないよね。
薄く開かれた唇。
少しだけ開かれていてチラリと見える赤い舌がセクシー。
服の上からでも解る細い腰。
それでいて程よく筋肉もついてる。
本当に同じ男かと疑ってしまう顔立ち。
他の誰もが君を見ていてイライラする。



…イライラ?
なんで僕がイライラしてるんだ?




「………おぃ。」



「…えっ、はい!」



ぼーっと考えていたら神田に呼ばれた。
やっぱり…髪の毛綺麗だなぁ。



「人の事ジロジロ見てんじゃねぇよ」



「ジロジロなんて見てませんよ」



「見てんだろが!」



そのまましばらく言い合いをして、リナリーに止められたから部屋に帰ってきた。
なんであんなに綺麗なのに口悪いし性格悪いんだろう。
しょうがないじゃないですか。
黒髪って目立つんですから。



もうこれ以上神田の事考えたくないな。
シャワーでも浴びようか。




ザァァアアァアア



「……ぃて」



この前の任務の時の傷に染みる。
まだ治ってなかったのか。
そう言えば神田って全治5ヶ月の筈なのに3日で傷が消えてたな…
聞いた時は嘘かと思ったけどホントに治ってるんだから驚きだ。


頭を洗い始めた時白い髪が視界に入る。
神田の髪ってサラサラだよなぁ。
あんなに長いのに絡まってないし
しかも石鹸で洗ってるらしい。
綺麗だし艶があるし…


…また神田の事、考えてる。



 
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