□お菓子はいらない!悪戯させろ!
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「なんで!!」



ショックからとうとう叫び声を上げるモヤシ。
余程俺が菓子を持っていたのが意外だったと見える。
駄々っ子の様に何で何でと喚き散らしている。



「今朝、ラビが寄越したんだよ
危ないからとか抜かしてやがったが…」



こう言う事だったか。
それを聞いたモヤシはピタリと喚くことやめた。…諦めたか?
と、思ったが俯いて何やらブツブツ呟いている。
時々あのクソ兎だのぶち殺してやるだの聞こえてきたが聞こえないフリをした。

急に明るい顔になるモヤシ。
俺の手からキャンディを受け取り、鼻歌を歌いながら包みを開けてゆく。
ああ、これで一難去った。







そう、思った。




が、口に入れたソレを笑顔で噛み砕く。
ガリガリと言う音は俺の耳まで届いた。
ぜってぇアレ歯に詰まるだろ。
くだらない事を考えていれば再びモヤシの手は俺の方へ向けられる。



「トリックオアトリート!」




部屋が凍った。




「…さっきやっただろ」



「もうありません!
トリックオアトリート!」



俺はポケットに手を伸ばすが貰ったのは一つだけ。当然ある訳がない。
いや、あったとしてもまた噛み砕かれるのがオチだろう。
ああ、またジリジリと、モヤシが距離を詰めてくる。




「ないんですね
……悪戯しちゃいますよ」




くそ、逆恨みだ。
仕方なしに腕を顔の前にやる。
勿論意味はないと知っているが。
目も瞑る。急いで顔を洗えば何とかなる筈だ
……多分。



 
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