□繋ぎ目
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「何処に、いたの」


「それはこっちの台詞だ、馬鹿」



それはそうかも知れないと苦い笑みを浮かべて見せて
離れようとした神田の身体をきつく、
僕の心理状態を悟った神田はまた僕の小さな身体を包んでくれた



「置い、てかれたのかと、思って、走りました」


「また迷って何処かで泣いてんのかと思って、走って戻った」



なんだ、二人して離れていっていたのか
酷い話だ
まだ嗚咽の止まらない僕の背中を優しく叩いてくれる神田に
当分涙は止まりそうにない
それでもこのままじゃいけないと
無理矢理神田から身体を引き離して
涙に濡れた紙袋を持ち直し歩き始める
勿論、二度と離れない様にと、
手を繋いで


少し照れくさそうに僕の隣を歩く神田
その仄かに染まった頬に
歩きながらキスを落とす
驚きに見開く瞳さえ、今は嬉しい
有り難う神田
僕と反対方向に走ったって事は
人の波も激しかったでしょう?
今、とても寒いけど
君の手は暖かい


(繋いだ手の繋ぎ目なんて)(なくなってしまって君と)(一つの存在になれてしまえたら、なんて)


END.
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