小さな瓶に詰められた精油。この液体はどのように抽出され私たちの元へ届くのでしょうか?

【精油の抽出部位】

◆花…ローズ、イランイラン、カモミールなど
◆葉…ユーカリ、ティートリー、レモングラスなど
◆花と葉…ラベンダー、ゼラニウム、ローズマリーなど
◆木部…サンダルウッド、シダーウッド、カンファーなど
◆樹脂…フランキンセンス、ベンゾインなど
◆木皮と樹脂…ミルラなど
◆樹果…ジュニパーベリー、ブラックペッパーなど
◆樹果と葉…サイプレスなど
◆種子…カルダモンなど
◆果皮…オレンジ、グレープフルーツ、ベルガモットなど


【精油の抽出方法】

多くの精油は「水蒸気蒸留」という方法で抽出されています。この他、「圧搾法」「溶剤抽出法」「アンフルラージュ法」「超臨界二酸化炭素抽出法」などの方法で抽出される場合もあります。

「水蒸気蒸留法」
古くから行われている精油の抽出方法で、水蒸気を使って植物の芳香エッセンスを抽出します。
まず原料となる植物を蒸留釜(蒸し器のような釜)に入れ、そこに蒸気を送りこみます。
すると釜の中は水蒸気でいっぱいになり、植物の中に含まれる芳香エッセンスが蒸気の中に放出されます。
この芳香エッセンスを含んだ水蒸気だけを集め、今度はこの水蒸気を冷却します。
すると冷やされた水蒸気は液体になり、これを溜めておくと、比重が水より小さい精油が上部に浮いてきて、下部には蒸留水(花を原料にした時はフローラルウォーターとも呼ばれます。)が溜まります。
この方法には長年の経験と手腕が必要とされます。
蒸気の圧力・温度・所要時間、使用できる釜の素材などが抽出する精油の種類によって異なるので、とてもデリケートな方法でもあります。


「圧搾法」
柑橘類の果皮を圧搾して、熱を加えずに精油を抽出する方法です。
昔は手で圧搾していましたが、現在では機械での圧搾が主流となっています。


「溶剤抽出法」
原料となる植物に揮発性溶剤(石油ベンゼンやエーテル、ヘキサンなど)を用いて精油を抽出する方法です。
釜の中に原料となる植物と熱された揮発性溶剤を入れると、植物の芳香エッセンスが溶剤に移されます。
そしてこの液体から水分を蒸発させると、コンクリートと呼ばれる固形物がえられます。
そのコンクリートにエチルアルコールを作用させると、コンクリートの中の芳香エッセンスがアルコールに溶け込みます。
そのアルコールを蒸留して精油を抽出します。
この方法で得た精油はアブソリュートまたはレジノイドと呼ばれます。
揮発性溶剤は毒性が強く精油の中に残留することから、この方法で抽出された精油をアロマテラピーに積極的に使用する事はおすすめできません。


「アンフルラージュ法」
この方法は花から精油を抽出する伝統的な方法です。
牛脂と豚脂を混ぜたものに花びらを敷き詰めます。
しばらくすると花の香りが脂肪に移るので、その花を取り去って再び新しい花びらを敷き詰めます。
この作業を繰り返し行い、脂肪を芳香エッセンスで飽和させます。
この花の香りでいっぱいになった脂をポマードと呼びます。
このポマードとアルコールを混ぜて香りをアルコールに移し、アルコールだけを蒸留させると精油がえられます。
この精油もアブソリュートと呼ばれます。


「超臨界二酸化炭素抽出法」
二酸化炭素に圧力をかけ低温の流体にしたものを原料となる植物の中に流します。
すると植物の芳香成分がひきだされます。
その後、圧力を常圧にすると二酸化炭素は揮発して芳香成分だけが残ります。
これもアブソリュートと呼ばれます。



●精油の抽出には、他にも新しい方法が現在も開発されつつあります。
その中にはアロマテラピーだけではなく、香料産業や化粧品産業用として大量生産するための方法もあり、この場合の精油はアロマテラピーには向いていません。
抽出方法がしっかりと記されている安心で安全な精油を選ぶ事が、アロマテラピーでは重要となってきます。


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