長編物語
□◆隠された匕首◆
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ゼロの命令で、ライにも寝泊まりが出来る程の部屋が与えられた。
此処も物置として使われていたのだろうか。
まだいくつか段ボール箱が部屋の片隅に残り、今しがた片したばかりという臭いの残る小さな部屋で、ライはベッドに腰を下ろして考えにふけっていた。
ルルーシュからの黒の騎士団への入団の誘いに、ライは迷わずに諾と言った。
彼が力の使い方を間違わない様に支えと行く事が、この新しい世界での自分の使命…そう思えたから。
「ルルーシュ…みんなを守りたい…」
今まで自分の事で精一杯で、意識していなかった事をようやく頭が考え始めている。
カレンが此処にいる理由。
ルルーシュがゼロとなった理由。
二人とも命がけの選択をして此処にいる。
どちらも簡単に決意出来るようなものではない筈だ。
(彼らにも、守りたいものがあるのか…)
顔を上げ深呼吸をする。
そのまま体重を移動させて後ろに倒れる様にベッドに身を投げ出した。
久しぶりの柔らかい床に、安堵と少しの情けなさを感じながら目を細める。
もう一度、深く吸った息を吐き出した、その時。
不意にノックの音が響いた。