長編物語

□◆プロムナード◆
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「…!」


ライは目の前に立つ少女の姿に驚きを隠せずにいた。


「久しぶりだな。

…お前には、アイツと将来を誓った仲だ、と言ってあったか…?」


鮮やかな緑の髪。
尊大な態度。
間違いない。
彼女はルルーシュの…


「何故…此処に…!」


彼女は何も答えない、ただ静かに、そしてどこか不敵に笑っている。
と、思えば急に真剣な顔付きになり、ライに質問を投げ掛けて来た。


「思い出したのか?」


何を、とは言わずともわかる。
ライはゆっくりと頷いた。


「何を、思い出した?」


「…君にも、言わないと駄目か?」


「……いや…無理に聞く気はない」


C.C.は、少し考え込んだ後そう答えると、一歩二歩とライに近付いて来る。


「お前…私の姿を見ても、何も思わないか?」


確かに驚きはした。
だが、現にカレンにも此処で会った。
この先誰が現れようとも、不思議ではない気がする。



「…少し驚いた。
君もレジスタンスの一員だったとはな…」


しかし、カレンに会った時とは違う…
ライは何故か体が無意識に強張っているのを感じていた。
純粋な驚き…それだけではない何か。
以前学園で会った時からずっと、彼女から感じていた違和感…

――似ている…あの男に…?

人ならざる者…
そして契約。
全ての業の始まりを思い出す。


「……そういう意味ではないのだがな…

…わからないのなら、それでいい」



彼女は何か隠している。
それははっきりと読み取れたが、今はそれよりも、再び目の前に現れた謎の存在に、ライは警戒心を強めていた。


「来い。ゼロがお前を呼んでいるぞ」


目の前までやってきたC.C.は手を貸そうとでもいうのか、右手をこちらに差し出して来た。
彼女が近付くと同時に押し寄せる、不安と恐怖。




「触れるなっ…!」





その時。思わず声をあららげ、僅かに身を引いている自分に気付いた。




「……」

彼女を見れば、一瞬驚きの表情を見せた後、少しまぶたを伏せ、そのままくるりと後ろを向いてしまった。


「そう、だったな…触れない方がいい」


「………」


「早くしろ。置いて行くぞ」



感情を抑えた様な、低い声が聞こえた。
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