本2(満)
□続#自転車第八話
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♭早耶
スランプを乗り越えたら前より上手く弾けるようになってきた。
勉強も、とりあえず目標が決まったことだし。
今日は神にいと美佳にコンサートの服を買うためについてきてもらった。
神にいには暇そうだったから車の運転と荷物持ちをたのんだ。あわよくばお昼をおごってもらうつもり。
「ねえ、こっちも可愛いよ。」
美佳がそう言って持ってきたのは大きな花柄のワンピース。
「えー、ちょっと舞台の上には派手だよ。」
「じゃあこっち。」
今度はドクロ入りのTシャツ。
つれてくる友達を間違えたかしら。
神にいがいい加減苛々してきたので、私が主導権を奪還し、淡いピンクのブラウスと白いスカートにした。
それでも美佳が不服そうな顔なので、渋る神にいにお昼をおごってもらうと約束させたら、やっと機嫌が直った。
まぁ、安いファーストフードだけど。
買い物が終わったら、また恰次と練習。
日にちはあっという間に過ぎていった。
そして前日。
練習も上々。
準備万端。
前日の打ち合わせもオーケー。
明日は本番かぁ。
緊張するなぁ。
人前でピアノとかあまり弾いたことないし、とちっちゃったらどうしよう!?
ううん、大丈夫。
だって、沢山沢山練習したもん!
あわわ、強張った顔で出たくないな。
笑って!笑顔で!
あぁ、今からドキドキしてどうすんだろ。
とにかく、寝よう。
私は無理やり目を閉じて布団をかぶった。