本2(満)
□続#自転車第七話
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プルルル プルルル
『もしもし』
「恰次!私、早耶だけど、あのね、高校決めた!」
『えっ?』
「進学する高校決めたの!えーっと、なんて名前だっけな。」
やばい、嬉しすぎてしっかり名前を確認しなかった。
「うーんと……とにかく、恰次の大学と芸術祭でコラボしてるとこ。」
『コラボ?』
「……あれ?知らない?」
『うーん思い当たらないなぁ。もしかしたら、サークルが違うのかも。』
ガーン
じゃあ、芸術祭で会えないじゃん。
ちょっと気持ちが揺らいできた。
『芸術祭かぁ、いいね。早耶がステージでピアノ弾いてるとこ見てみたい。』
やっぱ行く!絶対行く!
『あ、そうそう。ステージで思い出した。
今度えーと、再来週か。本番で使うホールがとれたっていうから、軽いリハーサルをやるんだけど、来れる?』
「再来週?」
慌ててカレンダーをめくってみる。
「あ、多分大丈夫。」
『良かった。リハーサルは午後からだけどさ、練習しときたいから部屋とるね。だから、10時ごろこっち来れる?』
「はい。」
『進路決まってよかったね。じゃ、勉強頑張ってね。』
「はい!」
ぷつっ
ツーツーツー……
私は子機を握り締めた。
よーし、頑張るぞー!
……我ながら不純な動機だとは思うけど。