本2(満)

□続#自転車第四話
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練習後、いつも通り大学からの帰り道。

「高山!」

名前を呼ばれて振り向いたら、なんと、まさかの!

「大沢先輩!」

「あ、あぁ、よかった、追いついて。
ちょっと、聞きたいことがあるんだ。」

先輩が走ってまで聞きたいことって何だろう?

そうでなくても、先輩から話しかけてくれただけで嬉しい。

「あのさ、隣町にある楽譜屋さん知ってる?」

「楽譜……ですか?さぁ、いっぱいありますから……」

「だよねぇ。」

私達はならんで歩きだした。

「隣町に行くんですか?」

「うん、今週の日曜に。」

これは……チャンス!?

「なら、私、ご一緒しましょうか!?」

今、心拍数が跳ね上がっている。

「あーわり。一緒に行く人がいるんだ。」

なぁんだ。

……もしかして?

「この前の彼女さんですか?」

「……まぁね。」

照れてる表情が何とも言えないんだけど……ショックが……

「正式に付き合ってるわけじゃないんだけど。」

「そうなんですか!?あ、すみません、私ったら……」

驚きすぎて食いついてしまった。

でも、これは有力な情報だ。
まだまだチャンスはある!


この時にすでにチャンスはなかったことは私は知らない。


「あ、そう、さっきの楽譜の話ですけど……」

うまく話をすりかえて、私達は公園をとおりすぎた。
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