本2(満)
□続#自転車第四話
1ページ/8ページ
♭明希
傘を返そうと思っていたのに、大沢先輩は風邪をひいて返す機会が延びてしまった。
今日こそ!
と思って部屋に入ると、先輩がすでに椅子に座って用意しているのをみて、すごくホッとした。
「大沢先輩、もう大丈夫なんですか?」
「あ、高山。うん、もう平気。」
「よかったぁ。あ、傘、ありがとうございました。
正面玄関の所に置いておいたので。」
「わかった。」
私も隣に座ってフルートを組み立てた。
やっぱり、隣に人がいるっていうのはホッとする。
それが、好きな人だとなおさら。
今日の練習は、いつも以上に集中できた。