本2(満)
□続#自転車第三話
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♭恰次
約束の日の二日前。大雨。
しかも、午後からだったので自転車で大学まで来てしまっていた。
仕方ない、傘さしで行くか。
ため息をつきつつ、自転車を押しながら門に近づくと、木の下に見知った顔がいた。
「高山??」
「あ、先輩。」
高山は少し困った風に俺を見上げた。
「どうした?」
「傘がないので、雨宿りしてるんです。全く、午前はあんなに晴れてたのに……。」
俺はちらりと空を見た。
まだまだ止みそうにもないな。
「これ、貸そうか?」
「え、でも先輩が使うんじゃ……。」
「いいって。警察に見られるのもやだし。ほら。」
「あ……。」
「じゃあなっ。」
半ば押し付けるようにして傘を貸すと、俺は自転車をはしらせた。
そして、翌日。
雨に濡れて帰った俺はみごとに風邪をひいた。