本2(満)

□第六話
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私は、その日の夜、また一馬と一緒に浜辺にいた。

決心は、変わってない。

お姉ちゃんは、春香ちゃんのところに行っているはずだ。
この術を使うということは、人魚の力を少し放出するということだから、体力的に私1人では2人に魔法をかけるのはキツイだろう
ということで、2手に分かれたのだ。

「今日は満月だな。」

「うん・・・そうだね。」

ただ、やっぱりテンションが下がってしまう。

「どうした?元気ねぇなぁ。」

「ううん!何でもない!」

私は、どうにか笑顔を取り繕った。

そして、これ以上私の気持ちが揺れないように、もうやってしまうことにした。

「ね、目、閉じてて。」

「うん?」

一馬はおとなしく目をつぶった。

私は、一馬の手をとると、額と額をあわせて、ささやいた。

「人魚は人に知られてはいけない。我この誓いを守るもの。
 汝の記憶よ、誓いを破りしその記憶、穢れを洗い清め、忘却の彼方に沈め。


 ・・・・さよなら。」

私は一馬の手を離し、様子をみた。
どうやら、少し眠っているらしい。

私は、一馬が目を覚まさないうちに海に潜った。







一馬はゆっくりと目を開けた。

どうしてこんな所で寝ていたのか、全くわからない。

何だか、とても大切なことのような気がして落ち着かない。

「あれ・・・・?」

一馬はぼうっとする頭を抱えながら、家に帰ることにした。
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