本2(満)
□第三話
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ちょっと(かなり)ドキドキしながら着いた所は、校舎の裏だった。
「な、何・・・?」
私がどぎまぎしながら聞くと、一馬君はキッと私を見据えて言った。
「お前、人魚だろ。」
「え!?」
「昨日の夜、海にいたよな?で、オレを助けたよな?」
「な、何のことかな???」
私は動揺し始めた。
やっぱり、見られていたのだ。
「オレ、見たんだ。昨日の夜。お前の顔も、その皮膚も。
今日、教室入って、お前を見たときは似てるなって思ったけど、海に落ちて、お前のいう『アレルギー』がでたとき、オレは確信したんだ。
人魚なんだろ?」
「・・・・・。」
うっ、どうしよう・・・こういう時って、どうすればいいんだろう??
「人魚なんだろっ!!」
「は、はい!」
一馬君が目を丸くした。
私も驚いて自分の手を口元にやった。
勢いに気おされて言ってしまった。もう、後には戻れない。
「ね、このこと、誰にも言わないでね、ね、約束して、お願い!」
それだけ言うので精一杯だった。
「・・・ありがとう、な。」
「・・・へ?」
いきなりの一言に、私は声がでなくなった。
「や、だから、助けてくれて。」
「は、うん。」
照れくさいのか、そっぽを向いているしぐさを少し可愛いと思ってしまった。
そして、私は自分が一馬君の手を握りしめていたことに気がついて、慌てて手を引っ込めようとしたら、逆につかまれてしまった。