本2(満)

□第五話
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建は、自分でも驚くほど冷静だった。

車に揺られながら、真剣にイメージトレーニングを繰り返していた。

まず、奴(母親)を見つけたら、俺を認識させる。
木で身動きを封じたら、水を吹っ掛ける。
雷を浴びせて痺れて動けなくなったら、炎で灰になるまで焼く。
あとは、風に委せてばらまくだけだ。

でも、周りには他にも人がいるかもしれない。

そういう時は、奈々に教えてもらったバリアで自分ごと囲んでしまえばいい。
周りに影響を及ぼさないようにするやり方はまだわからないから、自分まで燃えてしまうかもしれない。

その時はその時だ。

どうせ、人を殺す身。
そのくらいを覚悟してやらないと。

キキッ

軽いブレーキの音に、建ははっと我に返った。

バタン

タッタッタ………

人の気配が消えた。

ということは、一和が車から降りて立ち去ったということ。


とうとう、国会に着いたのだ。
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