本2(満)

□第六話
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教室ではすでに雪と誠が5人分用意して待っていた。

「奈々!」

雪は奈々が元気そうに抱きついてきたのを受け止めた。

「ユキ、心配かけてごめんね。」

「……無事で良かった。」

そして、お互いに微笑み合った。

「さ、早く食べようぜ!腹が減って死にそうだ!」

大悟は早速今日のお昼の焼きそばに取りかかった。

それから楽しい昼食が始まった。





全員が食べ終わり、係にお皿を預けた後、雪が4人に集まってほしいと言った。

校長室に行くと、一和がまだそこにいた。

「全員集まったわね。」

雪はお決まりの椅子に座ると、皆の顔を見回した。

「実はね、とてもとても大事な話があるの。」

「何よ、急に改まっちゃって。」

奈々がそわそわしながら言った。

雪は、少し呼吸を置いて言った。


「私、緑首相と直接会うことにしたわ。もちろん、一人で。」


「「「「えーーーーっ!!!!」」」」

校長室中に驚きの声と抗議の声が飛び交った。

「あたしも行く!」

と、奈々。

「俺も!」

大悟。

「皆で行こう。」

建。

「君が行ったところで何にもならないだろ。」

誠。

と、次々に投げかけられる言葉に、雪は黙って首を横に振った。

「私は行く。一人で。」

「ヤダ!絶対ついてくから!」

奈々は固い決意を示して、雪の服をつかんだ。
そして、俺も俺もと、大悟と建がつかまった。
誠はそんな光景を呆れながら言った。

「やれやれ……当然、策はあるんでしょ?」

「えぇ。だから、お願い。皆はここにいて。」

「でも………」

「皆がここにいてくれないと、何かあった時困るでしょう?」

「そんなの、建と大悟と誠が残ってれば良いじゃん!」

「は!?何で俺らが残らなきゃなんねぇんだよ!?」

建が奈々につっかかる。

「だって、ユキとあたしは友達だもん。」

「そんなの、お、俺だってなぁ……と、と、友達だよ。」

バチバチッ

すぐにでもまた手合わせを始めそうな二人を、大悟が何とかなだめて言った。

「その、策って?」

「秘密。」

雪の言葉に、全員首をかしげるしかなかった。

「とにかく、あたしは絶対ついていくからね!」

「俺だって!」

「俺も。」

「……僕も行こうかな。」

雪は、ハァとため息をついた。

「駄目よ。こんなにいなくなったら、守りはどうするのよ。」

「そんなの、来るかどうかわからないじゃない。」

奈々のきっぱりとした口調に、一和が困ったように口を挟んだ。

「それがね……全国の小学校に明日、機動隊が入ることになったんだ。」

「何それ!?」

「そういうことよ、お願い。ここを、皆を護って。」

四人は一斉に黙り込んでしまった。

そして、一人ずつ校長室を出て行った。
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