本2(満)

□第四話
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翌日、三つ葉小は朝から落ち着きがなかった。

バタン

校長室に、大悟が息をきらしながら飛び込んできた。

「駄目、だ。どこの電気もつかない。」

続けて、奈々と建も。

「こっちも、ぜんぜん火が点かない。」

「水道もでなかったぞ。」

雪は黙ったまま考えていた。


最初に異常に気がついたのは、料理当番の子だった。

いつも通り、階段の電気を点けようとしたら、点かない。

ただの電球切れだろうと思い、家庭科室へ。

が、そこでもおかしな事が起こった。

火が点かない。

水が出ない。



「どうやら……電気・水道・ガス、全て止められてしまったみたいね。」

報告を聞き、雪はこう結論づけた。

「ったく、大人たちめ……」

建は苦々しげに吐き捨てた。

「こっちにはまだチカラがあるわ。」

雪は風に伝言を託した。

『皆さん、おはようございます。
今日は重要なお知らせがあるので、よく聞いてください。
電気・水道・ガスが大人たちによって止められてしまいました。
ですが、安心してください。私達にはまだチカラがあります。
料理や掃除当番を組みなおしてください。
料理には、火や水を扱うのが得意な人。
電気が得意な人は、そこには入らないで、必要な時に点けられるように各教室に二人は待機していてください。
ただし、本当に必要な時にだけつけるように。
皆で協力して、頑張りましょう。』

これだけ一息で言い切った。

「俺、教室の様子を見てくる。」

大悟が校長室を出ようとしたとき、ドアがノックされた。

大悟は出て行くのをやめた。

「どうぞ。」

「上手く立ち回ったね、雪。」

「やっぱり、貴方だったのね、誠。」
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