本2(満)

□第三話
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奈々は、ゆっくりと目を開けた。

白い壁が見えた。

横を見ると、雪や大悟、建が心配そうな表情を少し緩めた。

奈々は、今自分が保健室のベッドに寝かされていることがわかった。

「えっと………?」

「さっき、チカラを無理やり取られそうになってたのよ。覚えてる?」

そうだ、あの身を切られるような痛み………

突如、奈々の中に怒りが溜まってきた。

「あいつはっ!?あいつはどこっ!?」

勢いよく布団をはね除けると、辺りをキョロキョロと見回した。

「一和さんなら、帰ったわよ。」

「え〜。一発ぶちかまさないと気がすまな〜い。」

奈々は膨れっ面を見せた。

「………その様子だと、大部元気なようね。」

「もちろん!」

雪は、ふーっと息を吐き出した。

「他の学校とかは大丈夫かな。」

大悟が言った。

「アレを持ち出されちゃあ、敵わねぇよな。相手が一和さんで良かったな。」

「そうね………ね、奈々、お願いがあるんだけど。」

「何?」

「建に、バリアの張り方を教えてあげて。」

「えーっ、何で大悟じゃないの!?」

その言葉に、大悟は一瞬顔が赤くなった。
が、奈々はそんなことに全く気がつかない。

「大悟は雷とか炎とか、攻撃的系のチカラは苦手でしょう?
木でバリアを作られたら地面がすごいことになるわ
それに、苦痛に堪えられる人じゃないと………」

奈々は不満そうだったが、わかった、と小さな声で呟いた。

「そうと決まれば、さっさと行くよ!」

「は!?ちょ、ま………」

奈々は建の手を取ると、あっという間に保健室から出ていった。
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