本2(満)
□第二話
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誠は、部屋のドアを開けた。
一瞬空気が張り詰めたが、入ってきたのが誠だとわかると、すぐ自分の仕事に戻った。
「誠ちゃ〜ん!」
母親の政美が、満面の笑みを浮かべて誠を隣に座らせた。
「学校のみんなはどうだった?」
「ああ、学校に立てこもるってさ。」
「そうなんだ〜。それから?」
「リーダーは雪、奈々、大悟、建。」
「すぐに学校のデータベースから調べて。」
政美の指示で、すぐに控えていた女性がパソコンを立ち上げた。
(ちなみに、部屋の中の人は全て女性だった。)
「何日ぐらい立てこもるかしら?」
また口調が柔らかくなった。
「さあ?……多分、あの雪のことだから、終わるまで、かな。
話し合いで解決しようとしてるよ。」
「あら、ずいぶん甘く見られてるのね。
まあ、良いわ。あなた達、調べ終わったらすぐに緑首相に連絡しなさい。」
「はい。」
「さてと、誠ちゃん、これが今回の報酬。」
政美は、財布から三千円だした。
「これだけ?」
「誠ちゃんには、これからもっと大変な任務を任せるんだから。」
誠は、動揺を隠すために、メガネを少しあげた。
「まぁ、大変っていっても、いつも通り皆とこのまま過ごしてくれればいいのよ。」
「スパイを続けるの?さっさと片付けちゃった方がよくない?」
「それだと、体面に関わるでしょう?話し合いで解決とみせかけて、陰で強引に奪えばいいのよ。後は、お・か・ね。」
「そのお金は、僕にもまわるんだよね?」
「もちろんじゃない。」
誠は、その一言で心を決めた。
「いいよ。じゃあ、食糧、毛布、食べ物とかを用意してくれる?」
誠の支持で、部下の女性達がてきぱきと動き始めた。
母親はそれを満足げに眺め、誠の頭をなでた。