本3

□第四話
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急いで家の中に入ったら、ラギーや、他の悪魔がたくさん来ていた。

「おぉ、やっと帰ってきたな。………2人とも、そんなに息を切らして、何かあったのか?」

「さすが特級悪魔隊長様だな。カルミナが仕掛けてきた。」

「何っ!?」

そう言ったとたん、場の雰囲気が一気に高まった。

「怪我は!?カルミナはどうした!?」

「怪我は見ての通り、何ともねぇ。カルミナは、あいつ、姿消してたしな、陽明抱えて逃げるので精一杯だった。」

僕は足を引っ張ってしまったのだと気がついた。

「ごめんなさい……」

小さい声で謝ると、ラギーが、かがんだ。
盛大に怒鳴られる、と、思ったのは間違いで、優しくも厳しい声で言われた。

「怪我がないのはなによりだった。しかしな、いつもシガルが守ってくれるとは限らない。これからもっと凄いものを仕掛けてくるかもしれない。
それでも、お姉さんを助けたいのだな?」

ラギーの瞳を見て、しっかりうなずいた。

「まー、俺と契約しちまったから、もう後戻りできねぇけどな。」

「まあな。」

それで、お互い顔を見合わせて笑った。

「さて、これからどうするか、だな。」

ラギーが、真顔に戻って言った。

「これからもっと酷くなるのは確かだしなぁ。」

シガルが天井を見上げながら言う。

端から見れば、まるで他人事のようだ。

「今回のように、周りの人々が巻き込まれることもあるだろう。」

ラギーとシガルだけでなく、おそらくラギーの部下も考えているようだ。

すると、その部下の1人が、手を挙げてこう言った。

「そいつを俺たちの世界に連れて来ちまうってのはどうですかい?」

その一言に、その場の悪魔たちは、賛成の声を上げたり、反対をしたりした。

「そうだな……あそこなら、いつも我々がいるから、カルミナも易々とは手出しが出来んだろう。
しかし、魔界だと、我々だけでなく、カルミナもパワーアップするから………」

ラギーはブツブツ独り言を言いながら思案し始めた。

「魔界っつうのは、悪魔が住んでる所だからな。」

僕が不思議そうな顔をしているのに気がついて、シガルが教えてくれた。

「じゃあ、天使が住んでるのは?」

「天界だ。んで、死んでから罪を犯した者は、狭間の谷に送られて、魂がすり減るまでそこで暮らすんだ。」

「へぇ〜………」

僕の頭の中は、他のことで一杯だった。

もし、魔界というところに行けたら、お母さんやお父さんに会えるのではないか?

魔界も天界も、死んだ後の世界だから、きっと繋がっているに違いない。

行きたいな、魔界に。

………悪魔たちがたくさんいるのは少し気が引けるけど。

「よし、魔界に連れていこう。」

ラギーがやっと決断をくだした。

「確かに、向こうでさらに危険が増すこともあるだろう。
しかし、相手は1人。
こちらは大勢いる。
安全面では、魔界の方がはるかに上だ。
さあ、こうと決まれば、すぐに支度だ。
まず、お前たちは帰って、陽明を受け入れる準備をしろ。
あぁ、ご両親の遺体は…向こうに運んで構わないかな?」

僕はうなずいた。

こっちに置いてきぼりにするより、一緒にいた方が良い。

「散れ!」

ラギーが威厳たっぷりに言うと、部下たちは忙しく動き始めた。
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