短編
□変わる未来
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とある街に、ガラスの瞳をもつ少女がいました。
ガラスの瞳はいつも澄んでいて、よく周りの景色を映しました。
人々は少女の目をほめました。
少女そのものをほめる人もいました。
確かに、少女は美しい姿をしていました。
肌は抜けるように白く、髪はつやつやと黄金色に輝いていました。
しかし、少女はそれを聞いてもちっとも嬉しくありませんでした。
だって、少女は自分の姿を見ることができないのですもの。
さらに、少女はいつも暗く沈んだ表情をしていました。
それがまた神秘的で美しさを上げていると言われても、少女はただため息をつくだけでした。
ガラスの瞳は外の景色をよく映します。
しかし、それを少女には見せてくれないのでした。
その代わり、もっと残酷なものを見せました。
死、です。
少女は今目の前にいる人が、将来死ぬところを見せられました。
1人につき1回だけでしたが、少女の心に暗い影を落とすのには十分でした。
人に言っても「縁起でもない」と取り合ってもらえず、少女は口を、心を閉ざすことに決めました。
新しい人に会わないように、部屋にこもるようになりました。
少女は、しばらく誰の死を見ることもなく、穏やかにひっそりと暮らしていました。