短編
□はじまり
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真っ白な閃光が広がる。
わたしは見えない力に引っ張られながら懸命に腕を伸ばした。
「待って!」
涙に負けないように必死に声を張る。
「わたし、決めたの!」
喉がヒリヒリする。
もがいてももがいてもあなたに届かない。
だから叫ばないと。
せめて、声だけでも
「決めたんだから!」
届いて。
「わたし、あなたと一緒に行く!」
見えない力が強くなる。
だめ。
わたしは力を振り絞ってあなたに手を伸ばす。
「あなたと一緒に、どこまでも行くわ!だから!」
いっそう光が強くなった。
もう、身体がほとんど見えない。
「だから!」
光がはじけ、わたしは急に解放されてひざまずいた。
「行かないで…」
最後に微笑みだけ残して、あなたは消えた。