ありますや 2

□きっかけ
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和むなぁ…

シッピーとコトミ君が仲良くお昼寝している。

遊びに来たスイちゃんとガイ君はお絵かきしている。

今日は、龍希さんも風来さんも最近体がなまってきたというので、自分たちの世界に帰っている。

だから、穏やかだ。

薬草について書いてあるノートをいったん閉じ、うーんと伸びをした。

いつもこんな感じだったらいいのに、と思う反面、お店が立ち行かなくなるかも、とか考えるけど、まあいいや、と結局のんびり。

なんだか、この歳にしてもう隠居気分だよ〜。

なんてのんびり構えていたらドアが開いた。

カランカラン

久々に聴く鐘の音。

入ってきたのは和服姿の知らないお兄さんだった。

あわてて居住まいをただした。
スイちゃんとガイ君は棚のかげにさっと隠れる。

「いらっしゃいませ。」

うわー!
久しぶりの接客らしい接客!

最近、知り合いばかりだったから少し緊張するなぁ。

「ええと、ここは探しているものが何でも見つかるお店だと聞いて来たのだが。」

お兄さんは優しげな声色でたずねた。

「はい。モノがわかればだいたいは。」

すると、ぱっと顔を輝かせ、懐から冊子を取り出した。

「それならば、これを探してほしいのだ。」

冊子をぱらぱらとめくっていき、見せられたのはお茶碗みたいな焼き物の絵。

「だいぶ昔に作られたものなのだが、保存していた家が火事になってから見つからないのだ。もしかしたらなくなっているかもしれないが、だが家主は熱心な収集家だったからどこか無事な場所に隠してある可能性もある。」

「その家主さんは…」

「その火事で亡くなった。しかし、屋敷のあちこちに地下室をつくり、色々な財産を残した守銭奴だ。もしかしたら、まだ見つけられていないかもしれない。」

「そうなんですか…」

宝探しみたいだな。
かなりずるいやり方だけど。

「すぐには見つからないと思うが、しかしなるべく早く頼む。」

今でも大丈夫ですよ、と言いかけてあわててのみこんだ。

このお兄さんが一般人だったら、自分の力について話すわけにはいかない。

「…いつまでに探したらよろしいでしょうか?」

「そうだな…一週間でどうだ?」

「わかりました。」

そう言ったら、お兄さんに目を丸くされた。
やば、まずかったかな。

でも、特に言及されずに「じゃあ、頼むよ」と言うとお店を出ていった。

シッピーがひょいと肩にのってきた。

「なんだか、本格的な依頼ねえ。」

「うん。これを思い浮かべれば出てくるかな?」

「でも、色とか大丈夫なの?」

「うーん。でも、ここに一応書いてあるよ。黒に蒔絵がしてあって…とりあえず、やるだけやってみる。」

わたしは目を閉じて集中した。

冊子に書いてあるイメージ通りに、イメージ通りに…
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