ありますや

□接触
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今日は入ってきたときから忙しかった。

店の中が龍希さんたちが怪我をして入ってきたときのままだったので、今大急ぎで戻しているところだ。

って言っても、実際家具とかの位置を戻してるのは龍希さんと風来さんだけなんだけどね。
怪我を治した対価として。

だから、私は移動してはしごを立てやすくなったタンスの上とかを拭いたりしている。

「あ〜腰いて〜。」

「大丈夫ですか?」

あれから小松さんの治癒力のおかげで、二人の怪我はすっかり完治したらしい。

さすが

「おまっ、いきなり手ぇ離すなっ。」

応接室に運び込んであったソファーを元に戻す途中だったらしい。

「やっぱり、私も手伝ったほうが……」

「それじゃ対価の意味がないだろう。」

小松さんに言われても病み上がりを働かせていると言う罪悪感は消えない。

心配してチラチラはしごの上から見ていたら、不意に平衡感覚が狂った。

「きゃっ」

ぽすん

見事に落ちてしまった私は、お姫様抱っこで龍希さんに受け止められた。

うわわわっ

一気に赤面してしまう。

「あー、いつものパターン。」

「す、すいません。」

風来さんがそう言ったけれど、今日はさらに+αがあった。

カランカラン

タイミング悪。

こんな状態の時に入ってきてしまったのは兄・悠一だった。

「こんにちは………」

笑顔で入ってきた悠一の顔が、お姫様抱っこされている私と龍希さんを見て一瞬で凍りつき、頭の上に『がーん』という文字がつきそうなほど、その場にがっくりとひざをついた。

「ああぁぁ。何てことだ。そんな、兄にナイショでもう結婚式の練習なんて……」

結婚!?!?

私は慌てて龍希さんにお礼を言うと、悠一の誤解を解くべく、話した。

「あのね、あのね、違うの!これは、はしごから落ちたのであって、全然そういう関係ではなくて、えっと、あの青い髪の人は、龍希さんで、赤い髪の人は風来さんで、ほら、前にも話したでしょ?だから、だから」

「わー。兄弟っておもしろいねー。」

風来さんの、のほほんとした言葉にやっと冷静さを取り戻した。

「えっと、お二人は初対面ですよね。
兄の悠一です。」

二人はお客様説を聞いてやっと取り直した兄が軽く頭を下げた。

「初めまして。いつも妹がお世話になっております。」

「はじめましてー。シスコンお兄さん。」

はっ!?風来さん!?

「君にそう言われる筋合いはないねー、赤毛君。」

お兄ちゃんまで!?

隣では龍希さんがまたか、という感じで頭を抱えていた。

「どうして初対面のやつにつっかかりたくなるんだよ……」

そういう癖があるんですか……
小松さんと仲が悪いのもわかった。

と、こんな最悪な自己紹介をしている中、また店の鐘が鳴った。

カランカラン
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