ありますや

□懐かし
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「あっつ〜」

私は汗だくでありますやに入った。

「お早うございます。毎日暑いですね。」

「おう。」

夏真っ盛りだというのに、店内は良い感じに冷えている。

私は、風来さんと龍希さんからもらったエプロンを着けると、まずはハタキかけから始めた。

あーそういえば、そろそろクーラーも掃除した方が良いかな?

「小松さーん。クーラーも掃除した方が良いですか?」

「いや、いい。」

「でも、掃除した方が電気の効率も良くなりますし……」

「クーラーはない。」

「え?」

確かに、家にあるような機械はないけれど、お店って、普通は天井の中に入ってるものだよね?

「じゃあ、何で冷えてるんですか。」

「ずっと昔に、対価として自動的に店内の温度を一定に保てるようにしてもらったんだ。」

「はぁ〜。」

何でもありだなぁ、ホントに。このお店は。

「そう言えば、台所のしょうゆが切れてたんだ。ちょっと行って買って来い。」

「え!?そんなの、自分でやれば良いじゃないですか。」

「それが最近ちょっと問題になってきてるのよ。」

小松さんの代わりにシッピーが答えた。

「散歩してて聞きかじったんだけど、この頃どこのスーパーでも、記録にない金額が勝手にレジの中に入ってるんだって。
しかも、その金額の分だけ商品もなくなってる。
これって、麻美たちのことじゃない?」

あー、とうとう問題化にされちゃったんだ。

「そういうわけだ。買って来い。」

私はため息をついた。

「お金は……」

「五百円もあれば足りるだろ。」

なんでこの年になってまでお使いに行かなくちゃいけないんだろう。

「うわー。あっつそ〜。」

外ではギラギラと太陽が輝いている。

「まだお店は開いてないから、お昼ごろに行くでしょ?
きっともっとすごいわね。」

まるで人事のようなこのセリフ。

「猫はいいわねぇ。」

「おかげさまで。」

カランカラン

とそこへ、お客様が来た。
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