ありますや
□自転車
1ページ/7ページ
その日は、梅雨にしては珍しく、からりと晴れた。
「晴れましたね〜。」
店中の窓は、この日に湿気を店内からなくそうと、全開になっている。
「あぁ、そうだな。」
小松さんは、私が苦労して並べたガラス細工を一つ一つ見て、少しでも汚れていると、丁寧にふき取っていた。
店の中は、最初に入ってきた春のころよりずっとずっと片付いてきた。
けれど、前にもあったように、家具とか本とか、そういう、捨てられた感じのものが、たまに、ドサッと入ってくるので、完璧には片付かない。
毎日、そのものたちを置くスペースを確保することに奮闘している。
「これ、ちゃんと拭いてるか?ずいぶん汚れてるのが多いぞ。」
「すみません、暇がなくて……」
そう言いつつ、手は何とかこの古本を押し込めようと、頑張っている。
「古本をそんなに詰めるな。」
「じゃあ、どこに置けばいいんですかっ。」
「自分で探せ。」
結局〜〜〜。
まぁ、小松さんの言うことにも一理あるので、私は本を抑えていた手をどかした。
「ここは『店』なんだぞ。商品は大切に扱え。
それに、色々魔力やなんや持ってるモノが多い。
あまり乱雑に扱うと、それが無くなってしまうだろう。」
「はーい………」
ちょっと落ち込むなぁ……
仕方ないので、他の棚を整頓し直すことにした。
と、店のドアが開いた。
カランカラン