ありますや

□旅人
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朝。
ありますやに来た私は、びっくりした。

「シッピー!!これ、何!?」

突如現れた、大きな家具たちが、店内のほとんどを占拠していた。

「さぁ?あたしにじゃなくて、小松さんに聞いてよ。」

シッピーはすでに呆れているらしい。

「小松さん!」

「ああ、これも片付け、頼むな。」

「はい。……じゃなくって、これらはどこからきたんですか!?」

「どこかで大きな引越しがあったらしい。粗大ごみになったからこっちに飛んできたんだろう。」

「飛んできたんだろうって……小松さんが呼び出したんでしょう?」

「いや、ああいう使い古された家具なんかはな、自分たちに用がないとわかると、次の主が見つけてくれるまで待つのだ。」

「待つって……家具が?」

確かに、どの家具も本もかなり古そうだ。
でも、どれも大切に使われていたらしく、アンティークで重みがあった。

「そうだ。道具に魂が宿る、といった感じだ。この店のほとんどはそんな感じで集まったものだぞ。」

はー、だから大量にモノが散乱してるわけね。

「わかりました。努力します。
でも、家具はおっきいからなー。どうしよう?」

入ってきたとたんソファーやタンスがあったらお客さんビックリするわよね………

「わしは奥で少し用があるから、適当にやっとけ。」

「はーい。」

私もずいぶん小松さんに慣れたもんだな。

とりあえず、家具を置く場所を確保するため、まだ散らばっているものから取り掛かることにした。

が、しまおうとした棚をみてギョッとした。

そういえば、棚が壊れていることをすっかり忘れていた。

「小松さんは奥だし…このタンスまるまる使っちゃうわけにはいかないだろうし……
自分で直すしかないのかなぁ?」

自分の図工・美術の成績を思い浮かべてみる。

どれも3の数字だったような……微妙だ。

「ま、やってみるか。」

決心すると、まずはそこらへんに工具がないか探し始めた。

今日は一日、棚の修理で終わりそうだなー。

さんざん探し回った挙句、やっとお目当てのものが見つかった。

ちょうどその時、お店のドアが開いた。
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