本3
□光と闇の恋物語
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それから数日後。
ジャイティがいつも通り地域の見回りをしていたら、またあの天使を見かけた。
最近見かけなくなって記憶から薄れてきていた時に、初めて見かけた時と同じように真剣な顔で地上を見つめていた。
あいつ、まだ降りられないのか……?
しかしもう自分には関係ないと判断したジャイティがそのまま素通りしようとした時、おそらくこれからツーリングへ行くのだろうバイクの集団が道路になだれ込んできた。
あれらの誰かに不幸を渡したらどうなるだろうか。
そんなことを考えながら、何気なくもう一度天使を見た。
天使はその場で固まっていた。
かろうじて翼は動いているものの、遠目でもわかるほど真っ青な顔をしていた。
ジャイティの頭に嫌な予感がよぎる。
相変わらずバイクの轟音は酷い。
声をかけた方が良いかと考えた瞬間、天使は目をつむってものすごい勢いでジャイティに向かってきた。
おそらく天使はそこに悪魔がいるとは思ってもおらず、ジャイティはそのスピードに気おされて2人はまともに衝突してしまった。
「いってぇな、おい。」
ジャイティは声を荒げたが、ふと、その天使が震えていることに気がついた。
相変わらず目を閉じたまま、誰かも知らずに悪魔にしがみついている天使を見ていたら、怒る気が失せてしまった。
「……ったく、なんなんだ。」
仕方なく、ジャイティは震えている天使を抱きかかえながら空中に漂っていた。