本3
□光と闇の恋物語
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まず、朝っぱらからくだらない会議があったこと。
しかも内容は今現世で起きている生き物どうしの戦いや、最近の悪魔の素行、天使の愚痴。議題に取り上げるのも馬鹿馬鹿しいが、それを熱心に語る年長の話にもうんざりしながらジャイティは会議を聞き流していた。
シガルというチャラい悪魔のようにさぼりたかったのだが、なにぶん運悪く、本当に不幸なことに今期の議長に選ばれてしまったので出ないわけにはいかなかった。
不幸を生き物に与える悪魔自体にいまさら運が悪いもなにもないが。
そして、もう1つ、嫌なことがあった。
そのさっきのシガルが、会議だけでなく、仕事を何もかもほっぽり出してでかけてしまったらしく、ラギーが今日提出しなければならない書類の山を見てため息をついているところに出くわしてしまったのだ。
シガルもジャイティも同じ将軍という地位なので、印を押すには問題ない。
「頼む!」
シガルとは腐れ縁というラギーに頼まれたのでは仕方なく、ジャイティは何十という書類に判子を押し続けた。
それからやっと解放されたと思ったら、無理解な行動を繰り返す天使。
ジャイティはとにかく誰かに八つ当たりしたかった。
自分の人差し指を、天使に向けた。
そしてそのまま軽く下へ振る。
そうすれば、天使は簡単に地面へ落ちるはずだった。
なのに天使はよほど降りたくないらしく、よりいっそう羽をばたつかせた。
その無様さがまた気に障って、さらに強い魔法をかけて羽を動かなくさせてみた。
「きゃ、きゃあああああっ!!!」
天使はものすごい悲鳴をあげながら落下し始めた。
そろそろ良いかと術を解いても、まだ白い塊は落ちていく。
まさか……気絶したのか!?
「マジついてねぇ……」
ジャイティは翼を翻し、勢いよく加速した。
天使がコンクリートに叩きつけられる寸前、風を起こして天使を浮き上がらせると、そのまま抱きかかえて飛び去った。
その場にいた人間は突風に驚いて不思議そうに辺りを見回していたが、首をかしげながらまた歩きだした。