本2(満)

□心の宝石
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ここはとある世界にある島、フラワー島の中にある国リーフ国のリーフ城。

今日は第11代バジル国王の愛娘、タンポポ姫の15歳の誕生日で、大いに賑わっていた。

盛大なパレードが国中をめぐり、あちらこちらで宴会が開かれ、それはそれは華やかだった。

時計の針が正午に近づいてくると、人々は皆、リーフ城へ向かい始めた。
正午はタンポポ姫が生まれた時間。これから姫のお言葉を聴きに行くのだ。

城は大勢の人で埋め尽くされ、今か今かと姫の登場を待ちわびた。

正午を告げる鐘が響き渡った。

カーン カーン カーン

12回鳴り終わると、盛大なファンファーレと共に、バジル国王とクロッカス王妃が登場した。

バジル国王は威風堂々と且つ、にこやかに手を振った。ますます威厳を増すお腹は少し窮屈そうだが、茶髪はまだまだ薄くなく、血色の良い肌に蒼い瞳がよく映える。

クロッカス妃は隣の国から嫁いだときのままの美しさで、おおらかそうな微笑を浮かべていた。緩やかなウェーブのかかった金髪は陽の光に輝き、澄んだ緑の瞳と白い頬は年齢を感じさせなかった。

そして、両親の後から、しずしずと今日の主役が出てきた。

タンポポ姫はとても嬉しそうに微笑んでいた。その名の通り、タンポポのように明るく、短い金髪はふわふわと風になびき、蒼い瞳はキラキラとしていた。

「みなさん。」

凛とした声に、一瞬で民は静まった。

「今日は私のために祝っていただき、本当にありがとうございます。
これから宴が始まると思いますが、めいいっぱい楽しんでくださいね。
それから、今日は特別なお客様に来ていただいております。」

タンポポ姫はちょっと後ろを向くと、手を差し伸べた。

「私の大切な友人、ルート国のラベンダー姫です。」

ラベンダー姫はタンポポ姫の隣に来ると、優雅にお辞儀した。

ルート国はリーフ国の隣に位置し、フラワー島でリーフ国についで二番目に大きい国だ。
ラベンダー姫の実の父である第11代サルビア国王は一昨年病で亡くなり、今は12代としてサザンカ国王が務めている。その妃はローズ女王といい、これまた美しい女性だ。
ラベンダー姫はとてもおとしやかな姫で、むしろ内気といってもいいくらいだが、黒紫の美しい髪と15歳とは思えぬその大人びた美貌から、婚約を申し込む人が後を絶たないという噂だ。

ラベンダー姫は顔をあげて言った。

「今日はこのような盛大なパーティーにお招きいただきありがとうございます。
サザンカ国王とローズ女王は、用事があり、出席できないことを残念に思うが、この機会にさらに両国の親睦が深まることを願うと、申しておりました。
タンポポ、誕生日おめでとう。」

「ありがとう。」

二人の姫のにこやかな笑顔でお披露目は無事に終わり、再び豪華なパーティーが始まった。
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