本3

□第二話
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毎日嫌というほど嗅いできたのだから、間違いない。

何が起こった!?

僕はランドセルを放り投げると、リビングのドアを開けた。



そこは、まさに修羅場と化していた。



おびただしいほどの血の量。
赤く染まった壁。
その中心にいるのは・・・・



「お姉ちゃんっ!!」



僕は、姉に駆け寄ろうとして、何かにつまづいた。

さっきは、目の前の赤に目を奪われて気付かなかった。



僕がつまづいたのは、青白い顔をして、血に染まった、お母さんだった。

「お・・・お母さん・・・・?」

ハッとして隣を見ると、お父さんも・・・・。

「う、うわあああああああああ!!」

僕はたまらず、大声で叫んだ。


「あああああああ!!!!」

「陽明っ。」

「はっ、はっ・・・あああああああ!!!」

「陽明っ!」

パシッ

誰かに頬を叩かれて、僕は正気に戻った。

そこには、お母さんとお父さんと同じくらい青い顔をした光輝がいた。

光輝も、血に染まっていた。
けれど、どこも怪我をしていないようだった。

「光輝・・・・。こ、これ・・。」

「逃げて。」

一瞬、何を言われたか分からなかった。

「逃げて、早く。」

「・・犯人が、いるの?まだ?この家に?」

光輝は、うなずくと、急に、苦しそうに倒れこんだ。

「っ・・・。」

「光輝!?」

「逃げなさいっ!早・・・く・・・。」

光輝は、そこで言葉を切ると、再びゆっくりと起き上がった。

僕は、ホッとした。
光輝も、このまま死んじゃうのかと思った。


けれど、その安心もつかの間だった。


ガッ

僕は、物凄い勢いで床に頭をぶつけた。

一瞬、意識がどこかにとんだ。

そして、光輝に首を絞められていることに気がついた。

「み・・・。」

すごい力だ。
声が全然でない。

「陽明っ!」

光輝は泣いている。

泣きながら、僕の首を絞めている。



だんだん、意識が遠のいてきた・・・・・
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