本2(満)
□第九話
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胸騒ぎの正体がわからぬまま、練習が終わった。
と、ほぼ同時に、ドアがノックされた。
「どうぞ。」
「こ、こんにちは。」
入ってきたのは、早耶ちゃんだった。
「あ・・こんにちは。」
「すみません、突然来てしまって。」
「いや、別にかまわないよ。何か、用?」
オレは、早耶ちゃんにイスを勧めた。
が、早耶ちゃんは座ろうとせず、オレをまっすぐ見て、言った。
「恰次さんに、言いたいことがあるんです。」
「何?」
早耶ちゃんは、そこで少しためらったっぽかったけど、言う決心をしたらしい。
「私、恰次さんのことが好きです。」