本2(満)
□第九話
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なんとか、大学に着いた私は、誰にも見られないように、中に入った。
一応、神にいに会いに来た、っていう言い訳は用意したけれど、できれば言いたくない。
「A棟は、こっち・・んで、恰次さんがいる部屋は・・。」
私は、一つ一つ部屋を見て回った。
「あっ。」
とうとう、見つけた。
フルートを吹いている。
一緒にいるのは、先生だろうか?
私は、改めてフルートを吹いている恰次さんに見とれてしまった。
キーンコーン カーンコーン
チャイムが鳴ると、恰次さんはフルートをやめて、先生にお辞儀した。
大変!先生がこっちに来る!
慌てて、私は植木鉢の陰に身をひそめた。
コツコツコツ・・・・
足音が遠ざかっていく。
私は、思い切って植木鉢から体を出すと、部屋のドアをノックした。