本2(満)

□第九話
4ページ/6ページ

なんとか、大学に着いた私は、誰にも見られないように、中に入った。

一応、神にいに会いに来た、っていう言い訳は用意したけれど、できれば言いたくない。

「A棟は、こっち・・んで、恰次さんがいる部屋は・・。」

私は、一つ一つ部屋を見て回った。

「あっ。」

とうとう、見つけた。
フルートを吹いている。
一緒にいるのは、先生だろうか?

私は、改めてフルートを吹いている恰次さんに見とれてしまった。

キーンコーン カーンコーン

チャイムが鳴ると、恰次さんはフルートをやめて、先生にお辞儀した。

大変!先生がこっちに来る!

慌てて、私は植木鉢の陰に身をひそめた。

コツコツコツ・・・・

足音が遠ざかっていく。

私は、思い切って植木鉢から体を出すと、部屋のドアをノックした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ