その他
□短編
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今日もバイオリンの音色が森に響く。君に聞こえるように毎日毎日僕はこれを弾くのさ。
僕は忘れていないよ、君の事はきっとこれからもずっと覚えてる。
ねぇ?ルル……
君と出会ったのは今日みたいに暖かい、ある春の日の夕方だった。
今日も父さんは狩りに出かける。今回は仕方なく見ているだけという条件でついてきているのだった。
父さんはどうして狩りなんてものが好きなんだろう。僕には理解できない。
狩りよりも家で楽器を弾いたり、本を読んだりする方がよっぽど楽しいと思うけどね。
「ジーク、ほら見てろ。あそこに何かいるぞ」
父さんはライフルを構えた
ああ、嫌だ!こんな野蛮な行為がどうして楽しそうにできるんだ。
銃声が森の中に響いた。大きな音だ。あわただしく飛び立つ鳥の羽音が聞こえた。