剛×晶

□絶頂スパイス
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「たァ・・・たすケてくれぇぇ!そうだ、金だろ?金ならアンタを雇った奴の2倍・・・いや、3倍だそう!
だっ!だから、命だけはっ!!!!」
声を上ずらせながら、命乞いをする小太りの中年男を見ながら、その冷たい瞳の黒い死天使は、死の予言
をするように無言で立っていた。
「ご・・・5倍だっ!!どうだぁ?!わっ・・・悪くないだろ!?」
歯をガタガタと鳴らし、腰が抜け、まるで殺虫剤をかけられた虫のようにじたばたと黒い死天使に背を向
け、のた打ち回る。しかし、黒い死天使を見たが最後、その先にあるものは・・・。
「うぜぇ・・・もう、死んでろっ!」
その黒い死天使・・・J6の暗殺者 日守 剛の手がその虫ケラのような男の第一頚椎を捕らえ、そのまま圧
力をかけて潰し、破壊する。その瞬間、声を立てることもなく、今までのた打ち回っていたのが嘘のよう
に動きを止め、そして、事切れた。
剛は、表情何一つ変えることなく手を離し、まるで汚いものを触ったかのように、手を振るう。

━━━『世界ハ 穢イ(キタナイ)』━━━

剛はこんな虫ケラのような人間を始末する時にそう思う。そして、その血で汚れ、それでも生き続ける自
分さえも、『穢イ』と思っている。だから、穢い自分だけを見て愛してくれる人が欲しかった。そして、
それがどんな形であろうとよかった。
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