真珠の宝箱

□そんな幸福
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首を傾げながら「どうしたの?」と笑う。


「何でもねぇよ」 とバッと顔を反らすも、目を向ければ雛森の服装に目を丸くした。


そこには、いつものお団子頭のセーラー服を着た彼女ではなく、漆黒の髪を肩に垂らし、右分けにしてある前髪を横にして、左の前髪にピンクのヘアピンをした彼女が立っていた。服装を見ればピンクのキャミソールに真っ白なレースのワンピース、その下には今流行りのレディースを履いた見た事もない彼女がいた。

その姿に口に手を当て、ただひたすら目を丸くして見ていた。


「…どうしたの?」

「…っ、いや…早くねぇか?」


座っていた為、尻を叩きその場に立った。


「そうかな?」


細く白い腕にある時計を見て、首を傾げる彼女が、凄く可愛かった。


「でも、もう待ち合わせ時間になるし、いいんじゃない?」


今日は一段と笑う。よく見れば、ほんのり化粧もしていた。付き合わなければ分からない日常の彼女。これが休みの時の雛森の格好なのかと思うと、それを知れただけでも嬉しく思う。
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