リクエスト小噺

□アメあと
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「あ…っ」
俺の吐き出した精を纏わせた指が、中に入ってくる。
「獄寺…指、増やすから…」
「ぅあ、あ…」
性急に指を捻じ込まれ、俺は体を引き攣らせるしかできない。
「ごくでら…」
指を内壁に這わせて、山本が俺の中から快感を引きずり出す。
「ああっ、やま…そこ……」
山本の指が、俺の弱いところを弄びだして。
「やぁっ…やめ……あ。はあ、ッ…」
俺は、山本の腕の中で快楽に飲み込まれた。
早い、とか、痛い、は言えなかった。思いつかなかった。
それどころか、山本の指はもどかしかった。
この後の快楽を思うと、焦燥感が募って。
嵐のようだ、と俺はこのとき本当に思った。
ただ、もう、翻弄されるしかなかった。

「獄寺…ちょっと、つかまってて」
やがて、山本が俺の腕を肩にかけさせて。
俺は膝裏を抱え上げられ、孔に吸いつく感触を与えられた。
くる━━そう思う間に、山本は侵入してきて。
俺は。
「ぜんぶ入った…」ため息をついて「獄寺。好きだ」
俺を侵す山本の唇を、ずっと見ていた。
「…獄寺?」
気がついた山本が、俺と視線を合わせて。
俺は、首を横に振った。
俺も好きだ。早く欲しい。唇を開けば気持ちが溢れそうで、口を噤んだ。
山本は、そんな俺の髪を掻きあげて。
額にキスを落とすと、腰を揺らめかせ始めた。

「あ…ン……」
「ごくでら…」
気遣うように、ゆっくりと抜き差しされる。
そのたびに、俺たちの吐息が絡まって、胸の奥がじんと痺れた。
窓を打つ雨音が、俺たちの繋がる音を掻き消していく。
まるで、外で抱かれているみたいだ。
そう思うと、体がかっと熱くなった。
「やまもと…」
名前を呼んだけど、山本は俺を抱き締めたまま快感を追っていた。
「…………」だから、俺は。
山本への想いを、雨音に飲み込まれそうなくらい小さな声で、いちどだけ漏らし。
そのまま、山本に体を委ねた。
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