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□inside
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「あっ…いやっ…」
「ごくでら…」
「ふぁっ…いやだ…っ」
山本に指を突っ込まれ、俺は首を振る。
「獄寺」
山本が、俺の頬を軽く撫でる。
だけど俺は、目を開けられない。
さっきうっかり目を開けたら、俺の股に顔を埋める山本が鏡に映って、俺はあっさり達してしまった。
それからこっち、俺は目を開けられなくなった。

寝そべっている限り、いやらしい光景が見えてしまう。
かといって、俺が上になるのも恥ずかしくてできない。
つまりは結局、山本の思うままだ。

俺の弱いところを散々にひっかいた指が、ゆっくりと抜かれる。
「ごくでら…」
のしかかられる━━そう思った時、体は反転させられた。
「やま…」
「こっちの方が、映らないからいいだろ」
山本が、後ろから抱き締めてくる。
孔を開かれ、山本の先端を感じる。

「獄寺。よく聞いて」
山本が、俺の頬に触れる。
手が冷たく感じるのは、顔が見えない体勢だからだろうか、山本の言葉のせいだろうか。
「獄寺は、何がイヤなんだよ」
「え……?」
山本の言葉に、俺ははじめて振り向いた。
「明るいのもイヤ、ホテルもイヤ、俺とするのもイヤ。じゃあ獄寺は何がイイんだよ」
山本が、急かすように亀頭を俺の孔に擦りつける。
「あ…やめ……」
「挿れねーよ、そんな獄寺なんかに」
動きを止めた山本に、俺の体は反対にぶるりと震える。
「なあ獄寺…」
いやだ。言うな。
「俺とするのイヤ?」
認めたくない。
でも……

「…ッわかれよ…」
「わかんねえよ」
山本の声が、脆くなる。
「てめぇだから、だろ…」
なんでこんなこと言わなきゃならねーんだ。
もっといやらしい部屋でも、山本となら構わない。
誰にも見せられない痴態も、山本なら我慢できる。
それなのに。
おまえは、俺の最後のプライドまで寄越せというのか。

「挿れろ、よ…ッ」

顔が熱い。涙が出そうだ。
それなのに。
「…それが聞きたかった!」
山本は急に元気になって、俺に覆い被さった。
「あっ、てめぇ…ッ」
「だって、こうでもしなきゃ獄寺おれのこと欲しがらないから」
「ふざけんな…!んッ…」
山本は上機嫌で俺にキスして。
「ごくでら大好き…っ…」
俺の中に、一気に突き入れた━━。

「あ、あぁっ」
俺はというと、山本が入ってきた途端に我慢できずに出してしまって。
「えっ、もう!? あ…」
山本が素でびっくりして、すぐ失言に気づいた。
「ごめん、そーゆうつもりじゃ…」
「…るっせぇ…!!」
山本が背後にいてよかった。向かいあっていたら、きっと何も言えなかった。
「ごくでら…そんな気持ちよかった?」
「ふぅっ…いやだ…」
繋がったまま覗き込まれて、俺は顔を背ける。
それでも山本は、俺のものに指を這わせて「いや?」聞いてくる。
分かっているくせに聞くなよ。
「いやだ…っ…」
さっきので、もう満足しただろ。
「イヤなら…もっと気持ちよくなんなきゃな」
行為じゃない。山本の追いつめ方がいやだ。
そう思っているのに。
「ぁうっ…やめ…さわるな…っ」
山本は、腰を揺らし、俺の自身を弄する。
「ぃやっ…やめ…」
前と後ろの刺激に、俺はどうすることもできなくて。
俺は、果てるまで山本の下で腰を振った━━。
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