T

□BLOW UP THE DARK
3ページ/6ページ

「ん、いい声」
山本が独りごとを呟く。
どうしていいか分からず、俺は山本から顔を背けて目を伏せた。

初めての時から、いつも声は我慢していた。
アダルトビデオの女のような媚びた声が自分の喉から出る事実も認めたくなかったし、
それを聞くと自分が自分でなくなっていくようで嫌だった。
だから、情事の時は唇を噛み締める癖が自然についた。

山本が、それを望んでいないのも分かってる。
俺が山本の立場なら、聞きたいと思う。
そう思って、やってみようとしたけど、できなかった。
だって、どうしても反応してしまう。
山本の熱を感じた途端、俺の体は頑なになり。
山本を拒んでしまう。
それは、たとえば、
鳴った腹を手で押さえるとか、突っ込んできた車を避けるとか、
それくらい、俺の体は自然に反応するんだ。

「あっ、やま…」
「ん、もっかいな」
山本が、俺の唇に貪るようなキスをする。
「ちがうっ…」
「ん?」覗き込んでくる山本が憎い。
「はずせ…っ…」
「今日は、ダメ」
山本が、結び目を固くする。
「たまには、獄寺の声聞きてーのな」
「どこ触って…」
尻の間の異物に、俺は逃れるように腰を振る。
「続き、するから」
「ひぁっ…!」
やがて体内に指が籠められ、俺はまた声を上げてしまう。
「あっ…あっ……ぁや……」
「いっぺんイッたから、やわらかいな」
「知るか…ッ」
俺が暴れるせいで、フックとベッドがカタカタと音をたてる。
「なんか、イケナイことしてる気分」
山本が、制服のズボンを寛げる。
中から出てきたものは、本人の言葉を表すがごとく興奮の色を示していた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ