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□きみに夢中
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夏休みが終わって、
10月末には中間試験がある。

でも。
「その間に実力テスト入れるなんて卑怯だよな〜」
俺は自分の部屋の机に突っ伏した。
「まあ試験範囲がないのはイヤだけどな」
獄寺が、伏せった俺から避けるように取り上げた缶ジュースをそのまま口に運んだ。
「だろ?だいたい実力テストっつうならさ、勉強しなくていいと思わねえ?」
「……そうだな。ということで俺は帰るぜ」
「あーっごめんなさい。今のウソ。勉強おしえてください!」
腰を浮かせた獄寺を、俺は両手で止めた。
「何が実力だ。俺より頭よくなってから言いやがれ」
獄寺がぶつぶつと座り直す。
「でも獄寺こそ、実力だけでいけるんだからすげーよな。なんなら、いま中間の勉強すれば?」
「俺はもっと静かな環境で、集中してやりたいんだ」
ひとりでな、と獄寺は俺の目を見て言うから、俺は何も言わずに教科書を開いた。










きみに夢中
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